堀文子さん
ここ数日、五月らしい気持ちの良い日が続いています。
原稿が一段落ついて、ちょっとほっとしています。
ところで今日、サライという雑誌の六月号を読む機会がありました。
「日本の森紀行」というテーマでした。
巻頭に森の三人組、稲本正さん、C・W・ニコルさん、成澤由浩さんが出ていました。
サライには、日本画家の堀文子さんが、「命といふもの」という連載をしています。
この雑誌のために書き下ろした絵と文章が掲載されます。
もう137回になりますが、これらを集めた画文集も出ていて、私は一冊持っています。
今回は、「関東、東北大震災」という題で、書かれていました。
震災の日、堀さんは大磯の自宅に帰るため東海道線に乗っていて、戸塚駅で遭遇したそうです。
92歳の堀さんは重い荷物を持っていて、足腰が不自由、助けを求めて携帯をかけても全く通じず、一人車両に取り残されました。
停電で暗い夜になり、思い荷物を引きずり、見知らぬ駅の長い階段を降りた時の恐怖、駅前のタクシー乗り場は百人を超す長い人の列、一時間に2・3台しか来ないタクシー、
そんな中、ようやく一台の車が大磯行きを引き受けてくれ、自宅に帰り着いたのは午前二時、そして初めて、地震と津波の惨状を知ったそうです。
物慾と享楽に流され、つつしみと忍耐を忘れたこの頃の日本人の行く先を憂えていたが、こんな悲劇の中でも取り乱さず、他の悲運に手を貸そうとする北国の人々に、誇り高い日
本人の魂を見、惰弱と思われていた若者たちは天晴れで、無私の心と勇気を見せてくれた。
この悲劇をてこにして日本人は必ず蘇り、自然と共に生きたかつての日本の知恵と誇りを取り戻すに違いない。そう堀さんは結んでいます。
自立した勇気ある女性として、私は堀さんを尊敬していましたが、今回の震災は92歳の堀さんにとって、どのようなものだったかと思っていました。
日本の行く末をいつも案じておられたからです。
けれども、今回のサライを読んで、目頭が熱くなりました。
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コメント
合掌ありがとうございます。
偶然にもその雑誌、ちょうど今日、近くのお蕎麦屋さんに入った待ち時間に手にしたところでした。驚きました!ですが、私はというと、その記事は全く目に止まらず、違う記事ばかり読んでいました。純子先生との意識の違いに愕然と致します…。
早速今度、借りるか購入するかして、じっくり読ませて頂きます。ありがとうございます。
投稿: 前川 淳子 | 2011年5月15日 (日) 23:07
前川さん
人それぞれ、好みや興味の対象が違うので、多様性があり、面白いのだと思います。
投稿: 谷口 純子 | 2011年5月16日 (月) 20:25