小淵沢のフィリア美術館で夫が買った「森のきのこ採り」という、きのこ画家、小林路子さんのエッセーを、私は夫より先に読んでいます。
この本では、わくわくするきのこワールドが展開し、東京でも気を付けて見れば、案外きのこが見つけられると書いてあります。
それと並行して、赤坂憲雄さんの「東北学/忘れられた東北」(講談社学術文庫刊)を読んでいますが、その中に豊かな
ブナの森が縄文人の暮らしを支えたと書かれてあります。
山菜、きのこ、クリ、クルミ、トチの実などを季節によって採集し、山ではクマ、カモシカ、ウサギなどを追って狩りをし、川ではサケやマスの漁をしたそうです。
宮崎で縄文遺跡の博物館に行ったことがありますが、住居が復元されていて、縄文人の食料なども展示してありました。
南の海に近いところでは、さらに貝や木の実の種類も豊富でした。
当時は縄文人の暮らしは、はるかに遠い昔のことで、現代の私達とはあまり関係性を感じることがありませんでした。
少し前のことですが、(以前に書きましたが)森の中のオフィスの職員住宅の候補地を見に行ったときのことです。
昼食に案内されたのが、小淵沢で一番古いという素朴な感じのお蕎麦屋さんでした。
お座敷にテーブルが並んでいて、その上にはすでに前菜(?)が置いてありました。
4人席のテーブルに、小皿になんでも4個ずつでした。
それが、ギボウシの花・カンゾウの花・みょうがの酢漬け、他にはかぼちゃの甘煮や大根の煮たものがありました。
お蕎麦はとろろそばでしたが、大皿に山盛りの天ぷらが出てきました。
それらは野菜のようでしたが、何なのかよくわかりません。
お店の人が配膳に来るたびに「これは何ですか」と私はしつこく聞きました。
天ぷらは、カンゾウの花、ギボウシの花、かぼちゃの花、イタドリ、アマニュウ(三つ葉に似た山菜)、ツユクサの花などでした。
私たちが知っている野の草花の中には、食べられる山菜が沢山あることは、図鑑で知っていました。
が、実際にツユクサの花の天ぷらが出てきて、それをおいしくいただくという経験をして、野の草がとても身近に感じられました。
そして、せっせとキノコを採って喜んでいる自分を見て、確かに縄文人の子孫であると思うのです。
縄文人が、ぐっと近くに来た感じです。
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