1945年のクリスマス
この文庫本「1945年のクリスマス」べアテ・シロタ・ゴードン著(朝日文庫)は、今年の6月30日に出たばかりで、私は7月4日に買い、時間を見つけつつ、ようやく読み終えました。
帯にも書いてあるように、日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝です。
一人の女性の自伝としても、大変興味深いものがありますが、アメリカからの押し付けと言われる日本国憲法が、どのような状況で草案されたか、関わった人々はどんな気持ちだったかがよく分かります。
日本を弱体化するための憲法ではなく、みんな理想主義に燃えていたことが、細かい描写から受け取れます。
べアテさんは、5歳から15歳まで、戦前の日本で暮らし、日本女性の地位の低さを敏感に感じ取っていました。
アメリカの大学を出て後に、日本国憲法の人権に関する委員会のメンバーに任命されたとき、女性が幸せになるように、女性の権利を書くことに心血を注ぎました。
当時アメリカの憲法にも、男女平等は記されていませんでした。
共産主義のソ連憲法には、男女平等があり、ドイツのワイマール憲法やその他の参考になると思われる国の憲法を、焼け跡の東京の図書館でさがし、参考にしました。
本文から引用すると、こんな箇所があります。
「とにかく、戦勝国の軍人が、支配する敗戦国の法律を、自分たちに都合よく作るのだなどという傲慢な雰囲気はなかった。自分たちの理想国家をつくる、といった夢に夢中になっていた舞台だったような気がしている。」
こんな風に書かれています。
こらから、憲法をどうするのかという議論が、国民的に起こってくるでしょう。
この本は、その時の一つの参考になるものと思われます。
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