朝一番の効用
水曜日の夜夫は、「明日の朝一番に、すぐりの実採るよ」と宣言しました。
明日は木曜日の休日です。
スグリとは房スグリのことで、英名、レッドカラントといいます。
植えて15年以上たちますが、毎年沢山実をつけて、ジャムにして楽しんでいます。
ところが今年は春先からどうも木の調子が悪く、枯れてしまうのではないかと心配しました。
実際一部の木は枯れていて、その後実の付き具合も少なかったのです。
そんなスグリでしたが、それでも実をつけてくれ、ようやく色づいてきました。
今までの経験から、スグリは収穫の時期が大切です。
小さい実をたくさんつけるので、実を取るのに手間がかかります。
少し遅くなると、種が硬くなり食感に影響します。
忙しい時ついつい後回しにしていると、ジャムにしたとき美味しくはできるのですが、種が残ります。
そんなことを経験しているので、採る時期に注意しています。
暇な時というのはあまりないのですが、今年はとりわけ7月の終わりに国際教修会があるので、その原稿などの準備に追われています。
国際教修会の場合、四か国語に翻訳する必要があるので、早めに原稿を提出しなくてはなりません。
そんな中、すぐりが色付いてきたので気になっていました。
ですから夫の言葉はとてもありがたかったのです。
折角色付いてきたものを、忙しいという理由で無駄にするのは、心が痛みます。
ところが木曜日、朝起きてみると外は雨でした。
予報では曇りだったのに残念と思いました。
けれども朝食が終わり、片づけをしているころには、雨も小降りになり、霧が出てきました。
こういう時は晴れてくる兆候です。
9時ころには雨もやみ、やがて薄日が差してきました。
夫は言葉通り、私に入れ物を要求し外に行きました。
夫から少し遅れて、私も一緒に採りに行くことにしました。
このような単純で根気のいる仕事は、一人より二人の方が効率もよく、楽しくできます。
30分くらいで、熟した実はほとんど採ることができました。
計ってみると400グラムありました。
いつもより少ない量ですが、それでもとてもうれしいものです。
早速洗って、お鍋に入れ、お砂糖を200グラムまぶして、置いておきました。
ずっと気になっていたことができたので、私の心はすっきりして、午前中は原稿に集中できました。
午後も気持ちよく仕事ができ、夕方にはしたいと思っていたケーキを作ることもできました。
スグリは夕食の準備の時、弱火にかけておけば、あくを取るくらいで手間いらずでジャムになります。
「しなくてはいけない」という思いを持ったまま、後回しにしていると、他のことをしている間も、その「しなくてはならないこと」が心に浮かんできます。
これが心の引っ掛かりになり、その時している他のことにも影響します。
気にかかることは、なるべく優先してしていますが、今回はそれを改めて実感しました。
朝一番の効用と言っていいかもしれません。
翌朝、トーストにつけていただいたとき、夫は少し前に作った落ち梅のジャムと比べて、「どちらもおいしいけれど、カラントのほうが華のある味だね」と、何やら複雑なことを言いました。
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