節分のがらがら
「鬼は外、福は内」幼い頃、節分の日の夜には家々からこんな声が聞こえてきました。
私の育った三重県の伊勢地方では豆まきもしましたが、獅子舞が来て町を練り歩いた記憶が鮮明です。
追儺の行事である節分に、獅子が舞って悪鬼や災難を払ったのでしょう。
調べてみると、獅子舞は日本の民俗芸能の中でも、もっとも古い歴史を持ち、古事記には引計王が鹿の角を捧げて舞ったことや万葉集には鹿擬態を示唆する歌などがあり、来歴はきわめて古いそうです。
私の見た二人立ちの獅子舞は、祭礼のお練りや祈祷、悪魔祓いや豊年祈願のために舞われ、江戸時代には「江戸大神楽師」「伊勢大神楽師」といわれる団体が獅子舞を舞いながら全国をまわり、悪魔祓いをしたことで日本各地に広がったとのこと。
上京してからは獅子舞を見たことがなかったので伊勢特有の風習かと思っていましたが、発祥の地なので盛んだったのでしょうか。
我が家でも子どもたちが小さかった頃は、夫が自ら鬼のお面を作って、大騒ぎして節分の豆まきをしたものでした。
三年ほど前のことです。
一月末甲府に行ったとき、和菓子店に大きな三角のおせんべいが丁寧に包装されて吊り下げてありました。
「がらがら」と書いてあります。
お店の人に聞くと、甲府では節分にがらがらを子供たちに縁起物としてあげる風習があるとのこと。
甘い三角のおせんべいの中は空洞になっていて、おもちゃが入っています。
男の子用と女の子用があり、吊り下げるリボンの色で区別できるようになっているのです。
節分の日に贈られたがらがらをこぶしで割ると、おもちゃが出てきます。
地方色豊かな風習ですが、山梨県民になったことでもあるし甲府の風習を孫たちにも体験させたいと思い、がらがらを買って送りました。
以来毎年、節分の前に孫たちにがらがらを送っています。
孫たちは、がらがらを割ることがお楽しみになっているようです。
今年も甲府の老舗和菓子店でがらがらを買ったのですが、子供用に加え新たに大人の女子用というのがあり、「まあ」と思いました。
これは誰が送るのかしらと夫と話しました。
親なのか彼氏なのかと勝手にいろいろ想像し、中に入っているものは何だろうとも思いました。
大人の男子用というのはありませんでした。
節分の翌日は立春。
外は氷点下の気温ですが、それでも日が長くなり春の訪れを待ち望む気持が膨らんできます。
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