桜の楽園
今年は3月の気温が高く、桜の開花も例年に比べてかなり早かったようです。
年によっては予想外の寒気で桜がなかなか咲かず、桜祭りが変更になるようなこともありました。
もっとも今年はコロナの影響で、桜祭りが中止になったり、お花見の自粛も呼びかけられました。
3月末、我が家周辺はまだ冬枯れの景色で、わずかにクロッカスやスノードロップが可愛い花を咲かせ始めたくらいです。
そんな中、4月1日私は夫と山梨県の南部地域に出かけました。
夫の職場が珍しく三連休で、1日はちょうど中日のため、日帰りで出かけようという気持ちになりました。
南部地域へは、中央自動車道から中部横断道経由で行くことができます。
中部横断道は、長野県の佐久から山梨を通過し静岡県に至る高速道路ですが、周辺住民の反対などもあり、全面開通が大幅に遅れています。
この道路は途中からほとんどがトンネルになり、それ以外の場所も同じような山の景色が続きます。
下部温泉のある早川インターから、南部インターまでがまだ開通しておらず、旧道を走ることになります。
早川インターから降りるとそこは県道で、どの家の庭にも桜、桃、梅、しだれ桜やレンギョウ、ヤマブキなどがあり、急に華やいだ景色を見せてくれました。
高速道路は、時間短縮には好都合ですが、その土地で人々が長い間育んできた暮らしの痕跡を見えないものとし、孤立させてしまいます。
川沿いの道路を進むと、やがて桜並木が始まりました。
広い川の対岸にも同じように桜並木があります。
かなりの老木ですが、見事に花を咲かせていました。
私は桜に限らず花はみな好きで、見事な桜があると見たいと思います。
けれども特にお花見に繰り出したいとは思いませんが、この時の桜は、のどかでありながら豪華な豊かさがあり、春を迎えた喜びが心の中に満ちてきました。
人が桜、桜というけれど、私の住む辺りでは桜は普通に沢山咲くので、贅沢なことではありますが、ありふれた風景の一つのように思っていました。
ところがこの川沿いの桜は、終わりがないように続きました。
もちろん終わりはあったのですが、ずっと幸せな気持ちで桜を眺めました。
いつどなたが植えてくださったかは分かりませんが、「よくぞ植えてくださいました」とお礼を言いたい気持ちでした。
この時の思いは、楽園を垣間見た感動だったのかもしれません。
日本人は桜好きで、春になるとこんなところにも桜があったのかと思うことがあります。
楽園を求める気持ちがそうさせるのでしょうか。
改めて桜の美に開眼しました。
(写真は川沿いの桜ではありません)
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