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2023年11月

2023年11月17日 (金)

ひまわりの家のロンド(輪舞曲)

 日曜日のお昼、一人で昼食をいただくとき、NHKの「のど自慢」を見ることがあります。先週は滋賀県草津市で行われました。
Img_2046  その時高校生の女性が、「ひまわりの家のロンド(輪舞曲)」というのを歌いました。私は初めて聞く歌でしたが、衝撃を受けました。
 どんな歌詞かというと、「もう一度自由に歩けたら 思い切りお掃除をして お洗濯をして お料理を作って お散歩に出かけよう・・・・・」と続きます。
 自由に歩ける自分に引き寄せて、掃除や洗濯、料理ができることはなんて有難いことなのだろうと歌を聴きながら思いました。
 のど自慢なので、最後まで聞けなかったので、すぐに調べてみると宮崎駿さんの映画「崖の上のポニョ」の主題曲だということが分かりました。そしてこんな歌詞が続きます。
Img_1994  「お迎えはまだ来ないから その間にちょっとだけ歩かせて もう一度だけ踊りたい そよかぜになって」
 「ひまわりの家」というのは老人ホームの名前ということでした。
 年老いて、自由に歩けなくなって、もう一度自由に歩けたらと願うのは、切ない想いが胸にあふれますが、それでもこの歌の中には自由さや明るさが感じられます。
 それは日常の当たり前を、「思い切りお掃除をして」「お洗濯をして」「お料理を作って」「お散歩に出かける」ことの価値を最大限に教えてくれているからだと、私は感じました。
世界には体が不自由でも、健常者以上に様々なことをして、人々に希望や勇気を与えてくれる人は沢山います。そういう人は大変な努力をしています。
 そのような特別な存在でなくても、人が日常を生きていくことはそれだけで、尊く、有り難く、美しく、唯一無二なのだと改めて思ったことでした。

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2023年11月 6日 (月)

紅葉の海の中で

  今年の夏は、殊の外暑い夏でした。標高1200メートルのわが家でも、30度近くになる日が何度もあり、普段暑さに慣れていない体にはこたえました。10月になっても20度を超える日がありましたが、日中はまだしも、10月早朝の気温は5度前後です。この大きい寒暖の差は尋常ではありません。それが影響したのか、10月末から11月にかけて木々の紅葉は、息をのむほどの美しさになりました。
Img_1858  もともと八ヶ岳周辺は観光地でもありますので、モミジの木がいたる所に植えられています。さらにモミジの実生もそこかしこに見られるので、一歩家を出れば紅葉の海と形容したくなるほどの豪華で華やかな紅葉が目に飛び込んできます。
 京都も紅葉の美しいところとして有名で、由緒ある神社、仏閣などが庭の紅葉と共にある姿は、人々のあこがれであり、多くの人が一目見ようと京都に押し寄せるようです。八ヶ岳は観光地ですが、歴史的建造物の宝庫というわけではありません。ところが、このどこにでもあるような大自然の景観に、木々の紅葉が加わると、そこは特別に華やかできらびやかな場所と感じられるのは不思議です。紅葉効果と私は呼んでいます。
 Img_1968 こじんまりした簡素な山荘も、庭に1本モミジの木があり家を覆うように紅葉していると、何とも風情のある意匠を凝らした建物のように見えるのです。
 毎年紅葉の季節には、同じようなことを感じるのですが、全山が赤や黄に染まり、人間を楽しませてくれるので、これから迎える厳しい冬も、何とか乗り越えようという気持ちになります。自然が与えてくれる無償の愛というとおかしいかもしれませんが、それほどの豊かさを秋は人間に与えてくれます。   
 紅葉と共に、私たちの命を支える作物の収穫時期でもあり、沢山の果物や木の実の多くが秋に実ります。
 生きとし生けるものは、この壮大な自然の営みの中で生かされ、育まれ、次へと命をつないでいくのですね。

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2023年11月 2日 (木)

恵美子先生の思い出

  生長の家白鳩会第2代総裁・谷口恵美子先生は、10月22日に100歳の天寿を全うされ、霊界へ旅立たれました。
 生前のご指導に心から感謝し、謹んでご冥福をお祈りいたします。
 _000042_20231102111701 私は現在、生長の家公邸となっている東京原宿の「お山」と呼ばれる場所で、谷口清超先生、恵美子先生のお住いの隣に、30年近く住まわせていただきました。
  恵美子先生との思い出を少し書かせていただきます。
 先生は、皆さんもご存じのようにお花が好きで、小鳥などの小さな生き物にも温かい眼差しを向けられました。花が好きな恵美子先生の所には、信徒の方からお花の苗などが送られてくることがありました。ある時、エビネランの苗が沢山届きました。私の家の周りにも植えるようにと勧めてくださり、私がせっせと植えていると、清超先生が来られて「強制労働させられているね」と言われたことがあり、とても印象に残っています。これは勿論、清超先生独特のユーモアです。
 _000039_20231102111601  恵美子先生は鈴虫の音も好まれ、毎年冬を越して翌年の夏に孵化させるのを楽しみにしておられました。
 日本の季節ごとの習慣を大切にされ、お母さまの輝子先生の時代からずっと続けられていた着物の虫干しは、私にとっても毎年の習慣となりました。虫干しは秋の天気の良い日にお座敷を開け放して、お手伝いの人も動員して何日も行われました。
 私の都合を聞いてくださり、箪笥の引き出しごと運んで、引き出しも虫干しをするのです。
 恵美子先生との思い出は色々ありますが、私が日本武道館で行われた生長の家の全国大会で初めて講話をすることになり、とても緊張していた時、私の背中をやさしくさすってくださり、「大丈夫、大丈夫」と言ってくださり、心強く思ったものでした。
 時には個人的なことも話してくださいました。先生には『子として母として』という著書がありますが、その題名を見て、夫の清超先生が「妻はどうした?」と言われたそうで、日本教文社の人に題名を提示されたとき深く考えずに、「清超先生には申し訳なかったと思った」と話されました。
 また清超先生と父親の雅春先生は食事の好みが違い、清超先生が「美味しい」と思われたものを、雅春先生は「これはもう作らない方がいい」と言われるくらいだったそうです。
 私はその話を聞いて、なぜか目頭が熱くなるような思いがしました。
 尊敬する父親と、愛する夫との間で、言葉にはならないご苦労があったのだと考えたからでした。
 恵美子先生は、やさしい気持ちになる聖歌を沢山作ってくださいましたが、『ほほえみて』は、私が長男を出産後、その子を抱いているところを見て作られた、と聞きました。
 恵美子先生の思い出は尽きませんが、いつも私のことを人に良いように話してくださり、「恵美子先生がこう言われていましたよ」と、何度も嬉しい思いを経験しました。
 限りない感謝の思いを籠めて在りし日を偲び、永遠の命に合掌させていただきます。

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