2023年9月18日 (月)

栗の実をいただく

 私がいつも買い物に行くスーパーやクリーニング店への道沿いに、大きな栗の木が数本あります。9月初めのある日いつものように栗の木のそばを通ると、栗の実が道路にまで転がっていました。
 Dsc_2382 まだ他の木は青々とした「イガ」が付いている状態でしたから、「はやいなあ」と思いつつ車を止めて、5~6個拾いました。早生種なのかもしれません。この木のことは夫もよく知っていて、実を拾ったことを夜話すと夫は「明日の朝栗の実を取りに行こう」と言いました。仕事のある日でしたから、いつもより早めに家を出て、目当ての栗の木の所には10分くらいで着きました。ほんの20分ほどで100個くらい採れました。
 Img_1612 このような栗の木は何本もあって、虫食いになった実が散乱しているので、だれも見向きもしないようです。かつて植えた人が高齢になって、今では採らなくなったのかもしれません。
 Img_1633 その日の夕食には栗ご飯を、そして、翌日は栗を茹でて中の実を取りだし、栗のクッキーを作りました。
 豊かな自然の恵みを有難く、美味しく頂きました。

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2023年8月27日 (日)

日帰り温泉の裏話

  8月初旬のある日夫は「今度、原村の樅の木荘に泊まってみない?」と言いました。
 原村の「樅の木荘」というのは、村が運営する公共の宿で、「樅の湯」という日帰り入浴もできる施設です。
 夫は時々、思いがけない提案をしてくることがあります。自宅から40分くらいの樅の木荘はキノコ採集に行ったとき、そこの食堂で1~2回昼食を頂いたことがありました。
 そんな近いところにわざわざ泊まらなくてもと思いましたが、面白い経験になるかもしれないと気を取り直し同意しました。
 夫は早速ネットで予約を取ろうとしましたが、私たちのお休みの日は満室で空きはありませんでした。
 原村には他にペンションも沢山あります。けれどもどのペンションが良いのか皆目見当がつかないので、適当に当たってみると、すぐに部屋が取れました。
 子供が小さい時は何度かペンションに泊まりましたが、ここ2~30年は全く泊まったことがありません。
 当日は午後4時頃を目指して、ペンションに行きました。
 予約したペンションは外観は綺麗で、庭は芝生がきれいに刈ってあり季節の花が美しく植えられていました。
 ところが狭い玄関を開けて、「こんにちわ」と言っても返事がなく、靴が無造作に脱いでありました。
 私たちは中に入って、もう一度大きな声で呼びかけました。
 するとキッチンらしきところから、かなり年配の男性が「ああいらっしゃい」と出てきました。
 「今日予約した谷口です」というと、「ああ谷口さん、よくいらっしゃいました。部屋は2階です」と案内され鍵を渡されました。
Dsc_1997  「夕食は六時です。お風呂はありますが、近くに樅の湯もあります」と言われました。
 2階への階段は隅に埃がたまっていて、いつ掃除したのかと思う状態でした。
 部屋の中はそれなりに掃除はしてありましたが、洗面所は流しが並んでいて、トイレも共同で隅にはやはり埃があり、正直な気持ち私は家に帰りたいと思いました。
 夫は「練成会みたいで楽しいじゃない」と小学校から高校まで参加した生長の家の練成会を思い出したようで、あまり気にならないようでした。そう言われてみれば合宿所のようです。
 そんな状況で、ペンションのお風呂に入る気にはなれず、「樅の湯」に行きました。
 樅の木荘の前には県外車が沢山並んでいて、人気があることが分かりました。
Dsc_2002  夏休みということもありお風呂は賑わっていて、広い浴槽がいくつかあり露天風呂もありました。
 私はこのような公共の湯に入るのは初めてでしたが、旅館の温泉に入るのと同じようなゆったりした開放感が味わえるのを体験しました。それは夫も同じだったようで、「これからは時々このような温泉巡りも良いね」と、お互いに同意しました。怪我の功名と言えるかもしれません。
 また、ペンションは私たち以外にもう一組私たちと同年輩の夫婦連れがあり、奥さんはとても明るくて気さくに話ができる人だったので、楽しく会話が弾みました。
 ペンションのオーナーも話してみると面白い人で、88歳で1人でペンションを運営していました。
 料理も独学で勉強したといい、自慢のようでした。
 ただ年をとったので10人以上は予約を取らず、部屋の半分近くは空いていると言っていました。
 私たちが泊まった日は、2家族8人の予約が入っていたそうですが、その中の子供の1人が風邪をひきキャンセルになったので、すぐに私たちの予約が取れたとのことでした。
 最初は戸惑いましたが、それなりに面白い体験ができて見聞が広がり、終わり良ければ総て良しと思えるペンション宿泊体験でした。

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2023年7月14日 (金)

自然の恵みに生かされて

 六月も半ばになると、庭の様々なものが食卓を賑わします。
ベリー類が色付き始め、私はジャム作りに忙しくなります。
Img_1047 レッドカラント(房スグリ)、ジューンベリー、そして家の周りに沢山ある桑の実などです。
他にブルーベリーとラズベリーがありますが、熟すのは8月から9月にかけてなので、後になります。
昔の人はジャムを長く保存するために、素材と同量の砂糖を入れて作ったようですが、保存技術の進歩や冷蔵庫の普及、また大量の砂糖の使用は健康に害を及ぼすことが知られるようになり、今同量で作る人はあまりいないのではないかと思います。
私の場合は、砂糖は素材の分量の三割にして作っています。
Img_1059 砂糖控えめなので、人によっては物足りなく感じるかもしれませんが、この分量でも十分においしく、果実本来の味も楽しめます。
山椒の木は裏の森にあった実生の木を植えたので、葉っぱは色々お料理に使いましたが、実はなりませんでした。ところが木が生長したからなのか、今年初めて実が付きました。つくだ煮などに重宝するので煮こぼしてから、塩漬けにします。
きゅうりもそろそろ最盛期になりますが、きゅうりのピクルスも毎年夏に1年分を作って保存します。
これは近くの市場で買います。きゅうりも何度か植えましたが、花が咲いて小さな実をつけるのですが、そのまま落ちてしまいます。昼間30度近くの暑さになっても、夜は肌寒くなる環境では、きゅうりは育たないのだと思っています。
サンドイッチのお弁当の時に重宝します。自然の豊かな環境に暮らしていると、自然界から様々な頂き物をします。
これらはメインディッシュにはなりませんが、食卓に余裕と豊かさを与えてくれます。
もう一つニンニクのしょうゆ漬けを作っていますが、野菜の餃子を作るときに、醤油漬けのニンニクを使うと、野菜だけの餃子の味に深みが出てとても美味しくできます。
先日は人参とシイタケの餃子を作りましたが、しょうがのみじん切りと共に、生のニンニクではなく、醤油漬けのニンニク1片をみじん切りにして加えたら、大成功でした。
このようにいろいろ工夫して、野菜料理も楽しんでいます。

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2023年1月 7日 (土)

ルリユールおじさん

 1月5日は私の誕生日ですが、毎年誕生日に絵本を送ってくださる方がいます。
今まで送ってくださった本は色々な内容でしたが、どれも心に残るものでした。
今回は『ルリユールおじさん』という「いせ ひでこ」さんの本でパリが舞台の話です。
この本は講談社出版文化賞絵本賞を受賞しています。
Img_9665    私はいせさんのことは、雑誌の対談などを読んで知っていました。13歳まで札幌で育ち、木に登って下界を見つめているような子だったそうです。
この絵本は水彩画で描かれていて、パリの町の雰囲気が伝わってくる美しいものです。
パリのアパ―トのベランダでは、一人の少女が大切にしてた植物図鑑がバラバラにほどけてしまいます。バラバラになるほどに読み込んでいたのです。
町へ出た少女は、「こわれた本はどこへもっていけばいいの?」と色々な人に尋ねます。
Img_9623  「そんなにだいじな本なら、ルリユールのところにいってごらん」と教えられます。
ルリユールおじさんを探して方々を歩きます。そしてとうとうルリユールおじさんのアトリエを見つけます。
部屋の中はものがいっぱいでごちゃごちゃですが、「こんなになるまで、よく読んだねえ。なんとかしてあげよう。」と言ってくれます。
本をバラバラにして、糸でかがっていくところからはじめます。製本の工程を職人の仕事として丁寧にしていきます。
ルリユールおじさんは「本には大事な知識や物語や人生や歴史がいっぱい詰まっている。それらをわすれないように、未来にむかって伝えていImg_9602 くのがルリユールの仕事なんだ。60以上ある工程をひとつひとつ身につけ、最後は背の革に金箔でタイトルをうつ。ここまできたら一人前のルリユールだ。」と言います。
おじさんのお父さんもルリユールでした。「名をのこさなくてもいい。ぼうず、いい手をもて」とお父さんは言ったそうです。
おじさんがつくってくれた本は、二度とこわれることはありませんでした。そして少女は、植物学の研究者になりました。
手仕事の価値を教えてくれ、懸命に生きるおじさんと少女の心温まる交流が描かれていました。

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2022年12月 7日 (水)

厳しい冬の恵み

 冬の厳しい自然の変化は、人の気持ちを前に進める手助けをしてくれると近ごろ気づきました。
10月半ばから11月にかけて、私の暮らしている八ヶ岳南麓は紅葉の美しい季節を迎えます。
とりわけ今年の秋の紅葉は、寒さが急激に進んだからなのか豪華絢爛で、何度も車や足を止めてカメラに収めました。この季節、森全体が明かりを灯したような華やかさとなり、いつまでも残しておきたいと勝手なことを願いますが、やがて紅葉していた木々は葉を落とし、森の中は冬枯れの寂しい風景に代わります。
 Img_9382 そして12月になると冷たい雨の翌朝、地上では大きな霜柱が立ち、見上げれば山にはうっすらと雪が積もっています。真冬のような厚い雪ではなく砂糖菓子をまぶしたような山の眺めは、絵本の挿絵のようで神秘的でさえあります。
 冬の始まりも美しいものだと好ましく思い、いよいよ本格的な冬の到来に気が引き締まります。そのころはまだ、早朝の外気温はマイナス1度、2度ですが、1月の半ばごろには10度前後の朝もあります。
 八ヶ岳南麓は、太平洋側に属しているので、新潟のような豪雪地帯ではありません。
 雪が積もったといっても、多くて20センチから30センチで冬は晴天の日も多いのですぐ解けます。
Img_9460  東京から移り住んでまもなく10年になるので、それぞれの季節の過ごし方が漸く体に慣れてきたように思います。
 自然の只中にいると、季節の巡りを知るのはカレンダーではなく、周りの森、風、空、雲、鳥、鹿などの動物が教えてくれます。鹿などは冬毛に替わり、一瞬あの黒いものは何かと見間違いそうになります。
 また冬の夜空は空気もキーンと冷えて澄み渡り、満点の星は星屑と言われるほどに空を埋め尽くします。これらの星は何万光年のはるか彼方から光を放っていて、今はもうない星もあると考えると、自分がこうしてここに生きていることが、とても不思議に思えることがあります。
 この地上での私の命は、たかだか百年前後ですが、「永遠に生きる私はあの星たちのように光を放ち、周りの人やものたちと交わりながら生きていこう」
 そんな前向きな気持ちが心に浮かんでくるのは、冬の厳しさに対峙するからこそと思えるのです。

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2022年11月 8日 (火)

髪を染めるのを止めました

 11月半ば近くのこの時期、我が家周辺やオフィスの周りは紅葉の真っ盛りです。 自然に囲まれた環境なので、360度どこを見ても赤、黄、茶のグラデーションで埋め尽くされます。この圧倒的な存在感の只中にあると、華やかで温かい実りの季節を与えられていることに、限りない感謝の思いがあふれます。春、夏、冬それぞれの良さがありますが、秋の恵みは格別です。
 Img_9273 70歳を過ぎて人生の実りの時期を迎えた私も、かくありたいと思わずにはいられません。
 ところで私は、髪を黒く染めることを止めて1年半くらい経ちます。
 それまでは、白髪交じりの髪を染めないでいるのはだらしなく見え、身だしなみを考える人は、黒く染めるのは当然だとの思い込みがありました。
 ところが近年は女性の白髪が注目されるようになって、白髪の女性ばかりを集めた雑誌が出たりしています。
 それらは、白い髪に合うヘアスタイルや白髪に合うファッションなどが取り上げられていて、なかなか魅力的です。
 様々な分野で働く女性の中にも、白髪が似合う素敵な女性がいます。そんなこともあり、思い切って髪を染めることを止めたのが、昨年の4月でした。
Img_9282  髪を一度染め始めると、1か月から1カ月半の間に毎回染めなければなりません。染めた部分と伸びてきた部分の色が違い、黒と白の対比は鮮明です。そのため早め早めに染める必要があります。
 染めないということは自然に帰ることですから、わずらわしさから開放されます。けれども、黒く染めた部分がなくなるまで、新たに出てきた白髪とのコントラストがどうなるのかという不安はありました。
 実際には、すべての髪が白髪になっているわけではないので、ゴマ塩風になってそれほど不自然にはなりませんでした。
 特に私は、髪の色が真っ黒ではなく、多少茶色っぽいので、黒と白というようにはなりませんでした。
 高校生の時、美容院で髪を切ってもらうと「染めていますか?」と聞かれたものです。
 今は髪を染めるのを止めて、とても良かったと思っています。白髪が目立ってきたと気にすることもなく、染めるための費用も不要です。髪に負担のないものを使っていて、7千円かかっていました。それが1年で8回ですから5万6千円です。
 そのお金を社会のために有効に使いたいと、今思案中です。

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2022年10月10日 (月)

穴子の海苔巻き

  夫のお弁当のために、1カ月に1回位海苔巻きのお弁当を作ります。その海苔巻きに出来れば穴子を入れたいと私は思います。
 私が育ったのは三重県の伊勢で、故郷では毎日その朝採れた海の幸を漁師の人が売りに来ていました。
 近海の伊勢湾で採れる新鮮なもので、魚の種類は主にカレイやこち、タコや海老、穴子などでした。
 Img_9032 母はちらし寿司や海苔巻きを作るとき、穴子の甘く煮たものを入れていました。
 この穴子は、瀬戸内海で捕れる明石の穴子のように細くて小さいものでしたが、繊細な味わいで美味しい穴子でした。
 東京では明石の穴子の串に刺したものが、デパートなどで売られていましたが、山梨県に引っ越してきてからは、そんな穴子を見ることは全くありませんでした。
 その代わり、太い大きな穴子が時々近くのスーパーに出ることがあり、それは千葉産でした。
 本当にたまにしか見かけませんが、見つけたときは買っていました。
 甲府には魚市場があります。夫はなぜか市場が好きで、東京に住んでいた頃年末になるとアメ横や、築地の場外市場に出かけようということがありました。市場の活気が好きなのかもしれません。
Img_8998  甲府の魚市場にも行って見ようということになり、行ってみるとそこには大きな穴子がありました。
 この大きな穴子は、脂がのっていてどちらかと言えばウナギに近いように思われますが、それでも素焼きにして甘辛く煮るとやはり穴子の味です。
 魚市場では穴子を開いてもらい、家に帰るとすぐに素焼きにして冷凍しておきます。
 他のところでも穴子を見つけると、私は開いてもらい素焼きにします。
 ファイスブック上にお弁当の写真を出していますが、海苔巻きの芯に穴子を入れたと書いたら、何人かの方が穴子はほとんど見かけませんとコメントされました。実際穴子はあまり目にすることがありません。お寿司屋さんや回転すし店の需要が多いのかもしれません。
 そんなことで、私が海苔巻きに穴子が使える秘密をご披露しました。
 「ふるさとの味忘れがたし」というところでしょうか。

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2022年9月11日 (日)

節約生活

  私の住んでいる北杜市の隣に、韮崎市があります。
 韮崎の駅前には、家電量販店や全国展開している書店のチェーン店などがあり、時々出かけます。
 先日も夫がI-Padの周辺機器が必要だったのですが、私は電気店に用事がなかったので、書店で夫と待ち合わせることにしました。
 甲府にも大きな書店はありますが専門書などが多く、背の高い書棚がずらっと並んでいます。
 韮崎の書店は一般向けで、広い売り場は開放感があり全体が見渡せます。
 Img_8685 婦人雑誌のコーナーに行ってみると、壁に立てかけられた新刊の雑誌が並んでいました。
 ほとんどが高齢女性向けの雑誌で、少し驚きました。
 日本の65歳以上の女性は2021年現在、女性人口の32パーセント約3分の1ですから、その対象に向けて雑誌がつくられるのは当然と言えばそうかもしれません。
 そしてその内容が、「少ないものですっきり暮らす」「限られた年金で豊かに暮らす」等、生活に即した実質的な見出しが多く見られました。
 さらに一般向けの本の中で今目立つのが、少ないお金でいかに生活するかという本です。
 こちらは高齢者だけでなく、若い人が実際の生活を披露していました。
 2・3カ月前、新聞の広告欄で「三千円の使いかた」(原田ひ香著)中央文庫刊というのが目に入りました。「50万部突破」と書かれており、「どおしてそんなに」と興味を持ちましたが、その本のことは忘れていました。
 ところが最近近くにブックカフェができ、そこの棚にその本を見つけ、手に取って読んでみると面白そうな内容だったので買いました
 帯には「知識が深まり絶対『元』をとれちゃう『節約』家族小説!」とありました。
 格差が大きくなり、コロナ禍で生活困窮者の増大が社会問題になっています。
 Img_8876 ウクライナとロシアの戦争も、物価上昇の大きな要因です。
 かつてのような経済発展は望めない現状で、如何に出費を抑え心豊かに生活するかを人は求めているのかもしれません。
 また高齢者の場合は、高度経済成長期を過ごし右肩上がりの生活を振り返ると、変わりやすい現実を念頭に置いて堅実に生活してきたかを、自らに問いている場合もあるでしょう。
 いずれにしても、ものに踊らされず、地に足を着けて着実に生活していこうという機運が高まっているように感じられます。地球温暖化の時代、それは歓迎すべきことであると思います。

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2022年8月 7日 (日)

カラスの子

 ここ半月位、我が家の周辺ではカラスが来てよく鳴きます。
 多分どこかの木に巣を作って、子育てをしているのではないかと思います。
 東京の原宿に住んでいた頃も、庭の大きな松の木にカラスが毎年巣を作りました。
 子どもたちが学校に行くときには、その木の下を通らなくてはいけません。
 まだ小学校の低学年だった娘は、頭の上にカラスが来てつつかれたか何かして、泣いて戻ってきたことがありました。
 以来カラスの子育ての時期には、晴れていても傘をさして木の下を通るようになりました。
Img_8718  カラスは黒いので、それが何羽も来ると少し不気味な感じがします。
 ヒチコックの映画、「バード」を連想してしまいます。
 家の周りではカラスがカアカア鳴いている下に鹿がいたりして、ちょっとしたワイルドライフの感があります。
 数日前の朝のこと、私がカーテンを開けて外を見ると、カラスが何羽かいて人の気配に「カアカア」と鳴き始めました。
 その時私の口から出てきたのは、「カラス何故鳴くの・・・」という童謡でした。
 「カラスは山に、可愛い7つの子があるからよ、可愛い可愛いとカラスは鳴くの・・・」と歌詞は続きます。
 私はこの歌を口づさみながら、カラスに対してこんなにやさしい目を向けて歌を作った人がいたのだと気付きました。
 Img_8724   この歌は野口雨情の作詞で本居長世が作曲しています。
 カラスは1度に7つも子供(卵)を産まないので、7つの子というのが謎だったそうですが、野口雨情がこの詩を書いたとき、雨情の息子が7才であり、また雨情は7歳の時母親を亡くしているので、息子への親の思いと母を恋しく思う子供の思いが重なっているのではないかと言われています。
 このような背景事情を知ると、カラスに対する暖かい眼差しの理由がよく分かる気がします。
 幼い子供だけでなく大人も童謡の世界に浸ると、人間だけではなく広く生き物全体への一体感、難しい言葉でいえば、対称性が養われると思いました。、
 もう一つ私が思い出したのは、「カラスの赤ちゃん何故鳴くの・・・」という歌です。
 「あかいお帽子欲しいよ、あかいお靴もほしいよと かあかあ なくのね」という歌詞です。
 黒いカラスが、あかい帽子や靴をほしいと思うのは、人間の勝手な思い込みで、カラス自身は自分が黒いことを何とも思っていないのではないかとそんなことを思いました。
 ドリフターズの志村けんが、「カラス何故泣くの?カラスの勝手でしょ」といったのは、彼のギャグ中のなかなかの傑作だと改めて思った次第です。

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2022年7月 8日 (金)

先生の太鼓判

 今年の5月末、森の中のオフィスでは職員対象の健康診断が行われました。
 健診結果が届いたのは、約2週間後の6月半ばでした。
 例年、特に大きな問題もなく過ごしてきましたが、年齢も重ねてきたので、結果を見るのは少しスリルを感じます。
 大きな封筒にはさみを入れ、中を開けると目に飛び込んできたのは、”E”判定でした。
 もっとも悪い結果です。
「血液検査の結果が異常です。精密検査を受けてください」と書かれてありました。
 得体のしれない病巣が、体の中に潜んでいるのかとの疑いが心の中に一気に広がり、ドキドキしました。
 血液検査の欄を見ると、ヘマトクリットの数値がE判定に属するとのことでした。
 昨年、1昨年と比べるとそれほど数値に大きな開きはないように思えますが、過去2年はB判定なので、少しの違いでEになるのだと分かりました。
 Img_8405 クレアチニンの数値が高いとどういうリスクがあるのか、ネットで調べました。すると多血症の疑いか脱水症とありました。
 多血症というのは、いわゆる血液ドロドロで、脳梗塞などの危険があります。
 私は食事にはそれなりに気を使い、血圧も正常で他の数値に問題はありません。
 そこで思い至ったことは、脱水症です。
 健診の前日は午後六時に夕食をいただき、そのあとはほとんど水分をとっていませんでした。
 夜枕元には、小さな水筒に白湯を入れたものを置いていますが、夜中に起きるのを避けたいとの思いから、のどを潤す程度であまり飲みません。
 健診の日の朝も、ほとんど水分をとらずに9時からの健診を受けました。
 そのせいで、脱水に近い状態だったのではないかと自分では判断しました。
 結果の出た日の翌日は、近所の診療所がお休みだったので、2日後に行きました。
 この診療所は数年前に開所した所で、院長は都内の大きな病院の院長経験者の女性です。
 副院長は、院長の夫で東大名誉教授の病理学者です。
 院長も東大医学部卒の経験豊富な人なので、私は予防注射に行くくらいですが、安心できる人柄でもあり信頼していました。
Img_8524  その日は木曜日で10時からの診察でしたが、私は3番目で比較的早くに見ていただきました。
 健康診断で悪い結果が出たのでとお話しして、結果の用紙をお見せすると、
「どうしてこの数値がEなのでしょう。何の問題もありません。これは私の専門分野です。」といわれました。
 私はほとんど水分をとっていなかったので、このような数字になったのかもしれませんとお話しすると、その通りですといわれました。
 大丈夫だろうとは思いつつも、2日間の不安は先生の太鼓判で、雲散霧消しました。
 年齢を重ねると鈍感になって、脱水症になる危険があるということを思い出し、それなりに水分をとることは大切なのだと思いました。
 自分では気を付けているつもりでも、素人判断せず、こまめに水分を補給し、配慮を怠らず過ごすことの大切さを学んだ出来事でした。 

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